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みえの防災
防災コラム
平成18年10月24日

海抜ゼロメートル地域における平常時の水害対策

 木曽三川下流域には全国最大のゼロメートル地域があります。この地域には小高い自然堤防に住宅を構え、農地などの低湿地に雨水を遊水させて水害を防ぐ伝統的な土地利用の知恵がありました。戦後の高度成長期以降、この地域でも多くの農地が宅地に転用されました。そのため、河川の氾濫よりも、遊水機能を失った土地から流出する雨水による内水氾濫の被害が多くなっています。
 水害対策のひとつに耐水建築化があります。高床式建築や地盤の嵩上げによる自衛策ですが、低湿地の埋立や嵩上げは遊水機能を滅失するだけでなく、今まで水に浸からなかった微高地まで浸水させる恐れを高めます。ゼロメートル地域では浸水リスクを高めない自衛策をもって、はじめて自助というべきでしょう。
 内水氾濫を防ぐためには、雨水の流出抑制が大切です。具体的には遊水機能をもつ低湿地の宅地化を抑制することです。行政が土地利用の計画と規制を行い、土地所有者がむやみな宅地化を慎むことが平常時に行うべき重要な水害対策です。
 木曽三川下流域のゼロメートル地域では、農地ばかりでなく、市街地の雨水も土地改良区の排水施設が強制排水しています。土地改良区の運営費は受益農家が負担していますが、農地や農家の減少、宅地化による排水負荷の増大によって、収支バランスは悪化しています。排水機能を担う土地改良区の排水施設は地域のインフラとして重要な役割を果たしています。この土地改良区の排水施設は公共施設でも、農家個人の施設でもありません。利益を受けている非農家を含む地域が、この機能を維持する努力を払う必要があるでしょう。

三重大学工学部
教授 浦山益郎

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三重県 防災対策部